今まで夫に伝えたことのなかった話です。

いつか伝えようと思いながら、長い年月が経ってしまいまいた。
思いきってメルマガに書いたのを機にここに書こうと思います。
ちょっと長くてごめんなさい。

長女を出産後3か月で、翻訳の勉強をしたいと思った私は…

私の話で恐縮です。私は23歳で結婚をし、24歳で出産しましたが、長女を出産した時に心に思ったこと、「これからは、子育てをしながら、外に勤めるのは、難しいかもしれない」。

だから私は、得意の英語を使って家でできる仕事をしよう」と思い立ちました。当時、英語を使って自宅での仕事といったら、「翻訳」しか思いつかなかった私は、そのために通信教教育で翻訳を学ぼうと思い、東京の翻訳者養成学校の資料を取り寄せました。

そこで目に留まったのが、1年間8万円の翻訳基礎コース。「安い!」と思われるかもしれませんが、短大を卒業して数年しか働かずに(しかも契約社員1年、派遣2年)結婚をした私には貯金などほとんどない状態で、8万円の工面を夫にお願いするしかない状態だったのです…

「翻訳の勉強がしたいから、8万円がどうしても必要」。
夫に相談するしかない状況でしたが、当時の夫は、地方への出張が長く、ひと月の中で自宅にいられるのは10日ほど。一度出張に出てしまったら、携帯電話もメールもない時代のこと、連絡を取るには宿泊先に電話をかけて呼び出してもらうか、ファックスを送るしかありませんでした。

直接顔を見て相談できるタイムリミットは10日間。何回も「言おう、言おう」と喉まで出かかるけど言い出せず、ジリジリと時間は過ぎていきます。とうとう次の出張の出発の日になってしまいました。

鞄を持ち、靴を履いて、今まさにドアを開けて出て行こうとしている瞬間。「あのね」と全身の勇気を振り絞って、夫に話しかけました。

「あのね、翻訳の勉強をしたいんだけど、私、仕事をしていないから授業料が払えないの」
「いくらいるの?」
「8万円」
「8万円で足りるの?」
「うん」
「わかった。また連絡するね」

とそれ以上何も聞かず、「行ってきます」と次の出張に出ていく夫を見送りました。数日後、夫から私宛に届いた郵便物は・・・

出張に出た夫から届いたのは、現金書留封筒でした。
「?」と思って開けると、中に入っていたのは“現金 8万円”。
びっくりして、夫の出張先の宿に電話を入れました。

当時、夫が勤務する会社では、出張前にまとまった金額のお金を仮払いするシステムでした。彼は、普段宿泊するホテルよりも安いところに宿泊し、8万円を浮かせて、私の翻訳の通信教育代金を送ってきてくれたのです。

言葉がありません。
もちろん、感激のあまり涙がこぼれました。

同時に、絶対に翻訳を仕事にできるように頑張って勉強しようと心に誓ったのでした。

こうして生後3か月の娘の傍らで、翻訳の勉強を始め、それから4年後、翻訳の仕事につくという目標が叶いました。その数年後に翻訳の経験を活かしてライターとして活動することになりました。

この出来事から26年が経ちましたが、この8万円を工面してくれていなかったら、私は、翻訳はもちろん、ライターにもなれていないことを時々考えます。

だから夫が出張に出る前に思い切って、「8万円が必要だ」と言えてよかった。受け止めてくれる夫でよかった。

24歳の時の切ない出来事です

(完)

 

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