恋愛は心の問題と思いきや、実は「脳」も深くかかわっていることをご存じでしたか?
恋愛・結婚、夫婦関係などについての「お悩み」について、各メディアでご活躍中の脳科学者・細田千尋先生にお話をうかがいました。このシリーズは、5回にわたってお送りします。
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第2回のお悩みは、「気になっている男性が他の人に取られそう」です。
香織さん 派遣社員 24歳
派遣先に気になっている男性がいます。同じ部署でバリバリ働いて、後輩の面倒見もいい男性で、いつも爽やか。当然モテるので、他の女性も彼を狙っているのがありありとわかります。他にも同じ部署で働く派遣社員が何人かいますが、その中の1人A子がちょっと仕事上で彼に甘える傾向があって、彼もまんざらではない雰囲気にヤキモキしています。
私は、仕事ができる女性だと思われたくて、ミスをしないように細心の注意を払い、新しく覚えないといけないことがあれば自分で本を買って週末に勉強したりと、彼をはじめとする周囲の人に迷惑をかけないようにとそれなりに努力はしているつもり。
でも、A子はミスをするたびに謝りはするものの彼に「ここがわからないんです」とか「教えてください」とか平気で口にし、彼も優しいから「仕方ないなぁ」みたいな感じで手伝ってあげている姿を見て、イライラMAXの状態です。
気のせいか、最近なんだか2人がいい感じになり始めている気がしてなりません。このライラどうしたらいいでしょう。
<細田先生の分析>
残念ながら心理学では、何も要求しない、面倒をかけない人よりも、ちょっと面倒をかける人、ちょっと世話の焼ける人の方が相手の気持ちをつかむとされているんです。
これを「コンコルド効果」というのですが、自分のかけたコスト(時間やお金、労力など)が多いほど相手に対する愛着や執着が生まれるため、相手を離しがたくなるというもの。
つまり、そのA子さんが、彼に仕事を手伝ってもらったり、お世話をしてもらっていることで、香織さんの意中の彼は、コンコルド効果によりA子さんに好意を持ち始めているかもしれません!
香織さんのように「相手に負担になるのでは」「手伝ってもらうなんてとんでもない」という風に相手に負担がかかることを過度に考えてしまったり、こんな私がお願いしていいのだろうかと自信がもてなかったり、あまりにも謙虚で遠慮深い人は、この心理学の理論に沿って考えると、恋愛において「つかみ」を間違っているといわざるをえません。
これからは、少し甘え上手になって、彼にちょっと世話を焼かせてみてはいかがでしょう。
【細田千尋先生】
東京大学大学院総合文化研究科研究員/科学技術振興機構さきがけ研究員/帝京大学医学部生理学講座助教。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科認知行動医学卒業後、英語学習による脳の可塑性研究を実施し、研究成果が多数のメディアに紹介。その研究をきっかけに、「目標達成できる人か?」を脳構造から判別するAIを作成し特許取得。現在は、プログラミング能力獲得と脳の関連性、 Virtual Realityを利用した学習法、恋愛と脳についても研究をしている。