恋愛は心の問題と思いきや、実は「脳」も深くかかわっていることをご存じでしたか?
恋愛・結婚、夫婦関係などについての「お悩み」について、各メディアでご活躍中の脳科学者・細田千尋先生にお話をうかがいました。このシリーズは、5回にわたってお送りします。
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第4回のお悩みは、「バリキャリ女性の婚活」です。
真理子さん 婚活中 バリキャリ 31歳
大学を卒業して入社した企業で営業職につき、男性と肩を並べて、いわゆるバリキャリとして頑張ってきました。恋人も作らず、がむしゃらに働き続けてきましたが、先日、大学のサークルの同窓会に出席したところ、友人たちの多くが結婚し、子どもを連れてきている人もいたしして、急に結婚を焦りだしました。
結婚相談所にも登録して、いわゆる“婚活”を始めましたが、なかなかうまくいきません。私が結婚相手に求めることは「誠実さ」だけなので、特に選り好みをしているからではないと思います。
服装もメイクも結婚相談所の方に指導していただいて、笑顔の練習までして婚活パーティに臨むのですが、毎回誰とも話が弾むこともなく帰ってくるたびに「今回もだめだった」ため息をついています。
最近では、結婚相談所の人から「大丈夫ですよ、自信を持って」と言われるたびに、空しさすら感じます。仕事では、あんなに自信を持っていろんな人と接してきたのに……やはり男性は、バリキャリの女性よりも、「可愛い」イメージの女性がいいのかな。自信を無くしています。
<細田先生の分析>
真理子さんは、笑顔でいるよう努めていらっしゃるとのことですが、おそらくキャリアウーマンとしての自信が溢れているのかもしれません。でも、それはこれまで、そして今もなおお仕事を頑張っていらしたのですから当然のことですよね。
でも酷なことをいうようですが、実は1,000人を対象に行った調査(L.Tracy et al.Emotion、2011)によると、「自信のある表情をする女性は、男性に人気がない」との結果が出ています。対して、魅力的に映るのは女性の「幸せそうな笑顔」だそうで、男性は、「話していて楽しいと感じる」「安心感を与える」「ホッとできる」雰囲気を相手に求めているようです。
仕事上では、対等なビジネスパートナーであるために、自信のある態度、表情は大切ですが、多くの男性が結婚に求めるのは「安らぎ」。もちろん、対等な立場での人生のパートナーを求めている方もいますが、自分がどんな印象を周囲に与えているのか客観的に見る、または結婚相談所の方に聴いてみるのもいいかもしれませんね。
鏡を片手にまずは口角を上げる練習から始めてみては?
ちなみに逆に男性の場合、モテるのは「自信のある表情」をしている人。そしてモテないのは「幸せそうな笑顔」の男性だそうです。
男女がパートナーに求めるものが真逆なのも興味深いですが、なかなか複雑ですね。
【細田千尋先生】
東京大学大学院総合文化研究科研究員/科学技術振興機構さきがけ研究員/帝京大学医学部生理学講座助教。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科認知行動医学卒業後、英語学習による脳の可塑性研究を実施し、研究成果が多数のメディアに紹介。その研究をきっかけに、「目標達成できる人か?」を脳構造から判別するAIを作成し特許取得。現在は、プログラミング能力獲得と脳の関連性、 Virtual Realityを利用した学習法、恋愛と脳についても研究をしている。