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ゲスト:わらしべ長者的キャリアのススメ「 ワードローブ管理コーチ」玉木晶子さん


未経験の営業に戸惑い。それがフリー転身へのきっかけに

 -講師に営業にと未経験のことにどんどん挑戦されていますよね。そうした経験が晶子さんのオリジナルのコンテンツ誕生につながっていったのでしょうか。

ちょうど自分のオリジナルのコンテンツでやっていきたいなと思い始めた頃に、講師をしていたスクールから今後カルチャーセンターでの仕事を増やしていきたいから営業をするように命じられたんです。営業なんてもちろん未経験。カルチャースクールに1軒ずつ電話をして、「こんな講座を開講しませんか」と体当たりで頑張りましたが、当時カルチャースクールの責任者は、中年男性が多く、華道や茶道ならわかるけど「カラーって何?」みたいな感じでした。でも丁寧に説明をするとわかっていただけるようになって。「あ、こういう風に言えば通じるんだ」とつかめるようになったんです。

そんな経緯もあり、「自分が独立したときも、こうすれば仕事が取れる」と確信。「自分のオリジナルのプログラムで仕事をしていこう」とフリーランスとして独立することを決心しました。

-とうとうフリーランスに! お仕事はどのように切り開いていかれたのでしょう。

スクールを辞め、独立後は、カルチャースクールでいくつかクラスを持つようになりました。あるとき、以前から素敵だと憧れていた自由学園の明日館*で貸し教室をするという情報を得て、お話を聞きに行ったところ、「実は、うちも公開講座をやろうと思っているので、クラスを持ちませんか?」と言われたんです。

*自由学園の明日館…東京都豊島区西池袋に建つ、1921年(大正10)アメリカが生んだ巨匠 フランク・ロイド・ライトの設計により建設された学校法人自由学園が所有する施設。国の重要文化財に指定されている。

事務局の方も公開講座をするのは初めてで、講師謝礼や運営方法などを逆に私に相談される感じでした。カルチャースクールでやっていた経験がここで生きたんです。着物屋さんに就職して「配色」に興味を持ってから、流れに身を任せていつの間にかここにたどり着いたと言いましょうか。

もうおわかりかと思いますが、私は目標を持って「やるぞ~!」というタイプではなく、流れで色々身に付けていく「わらしべ長者」タイプ。最初は1本のワラだったものが、だんだんいいものになっていく。自分の人生は、それにちょっと似てるなと思っています。この経験から、講座の中でも「自分を持っているものを大事にした方がいいですよ」とお伝えしています。

自由学園での公開講座は、受講生の多くが生徒さんのお母様や卒業生。物を大事にし、洋服を含めて手作りをする方が多かったので、私の講座でお伝えしていた、「今あるものを大事にして、生かしていく」「ファッション性やトレンドよりも、好きなものを長く使い続ける」という内容がとても合っていたと思います。

また、別に講座を持っていた「通販生活」のカルチャースクールも同様で、「良いものは、壊れたり直しながら長く使いましょう」というポリシーを掲げた企業であることから、同社主催の講座を受講する方も同じ考え方の方が多かったように思いました。

子育てしながらの仕事を支えてくれた心強い存在

―2人のお子さんの子育てをしながら、お仕事を続けるのは大変だったのではありませんか?

27歳で結婚、32歳で長男を出産しました。夫婦ともども地方出身で、近くに親族もおらず、フリーランスなので産休もない、保育園も入れない状況だったので、子育てに専念するためにスクールで受け持っていたクラスも全部やめました。

そのうちにカルチャースクールで昼間のクラスを週に一度受け持つことになり、子どもの預け先探しが急務になりました。シッターサービスは料金が高いし、「どうしよう」と思ったときに「預かって欲しい」「預かります」という人どうしをマッチングしてくれるNPOのファミリーサポートサービスを見つけました。

長男を預かってくださったのは、もともと保育士さんで出産を機に引退し、お子さんが大きくなったので自宅で子どもを預かるサービスに登録された方でした。うちの子ども用のコップを用意してくださったり、愛情深い方でした。その当時、そのお宅に幼稚園と小学生のお兄ちゃんもいたので、息子も可愛がってもらえて、楽しくて仕方がなかったみたい。お迎えに行くとなかなか帰らなくて大変だったくらいです(笑)。

私の帰りが遅いときは、夜ご飯まで食べさせてもらったり。小学校の入学式は、そこのお兄ちゃんが来た洋服を借りたり、家族同然のお付き合いになりました。2人目の子(長女)の出産のときは、長男はそのお宅で数日間のホームステイ。その方がいなかったら長女を産むことはできなかったと思っています。

子ども達が病気のときも預かってくださり、この方のお陰で、仕事に穴を開けることはほぼありませんでした。

でも子どもが2人になると、その方にかかる負担もより大きくなります。あらたに講師の話をいただいたときも、「(その方に)ご迷惑をおかけしてしまう」と心配していたら、「みんな同じだよ。それでいいんだよ」と言ってくださって。「ならば」と甘えさせていただき、その分仕事で恩返しようと思い、あらたな講師の依頼を引き受けしました。

温かく支えてくださる存在によって、仕事を続けることができた晶子さん。やがて独自のコンテンツが生まれていきます。次ページへ

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