interview

ハンドメイド作家 千村祐子さん


ハンドメイド作家 千村祐子さん 

237572現在、会社勤めをしながら、昔から得意だった裁縫の腕を活かして、友人・知人のリクエストに応じて、手作りのバッグやポーチ、キッチングッズなどを作る”手作り工房”を立ち上げた祐子さんの”分かれ道”をご紹介します。

 

◆共働き・自営業の家に育ち、専業主婦に憧れていた子ども時代

mummy子どもの頃、うちは自営業で共働きだったので、両親はいつも忙しく、あまり手をかけてもらった実感がありませんでした。学校や遊びから「ただいま~!」と帰ったら、母親が「お帰り」って迎えてくれたり、お菓子を作ってくれる家庭に憧れて、「専業主婦にならなきゃ」と思っていました。友だちのお誕生会に行くと、どこもお母さんが手作りしたものを出してくれるのに、うちは唐揚、お鮨、ケーキも全部出前。浅草の評判の店からの出前だったから、みんなは逆に「わ~、いいな!」って羨ましがってくれたけど、私は寂しかった。 中学受験を経て進学した女子中・高校は、家庭科に力を入れていて、良妻賢母を育てる方針の学校。小学生の時以上に親に手をかけて育てられた人たちが多くて、育った環境のギャップをずっと心の中に抱えていました。

 短大卒業後、電気関係の企業にOLとして20歳の時に就職し、24歳で社内結婚。結婚して5年後、ある日、お母さんが祐子さんに贈りたいと言ったものは… 

 

◆結婚後、5年目で母親から贈られたミシンが憧れを実現

gf01a201410081000結婚する時、当時は嫁入り道具として親がミシンを持たせる時代たったのですが、私たちは結婚後すぐに関西への引っ越しが決まっていて、その準備でバタバタしていたので持っていかなかったんです。長男が生まれた後、母と一緒にユザワヤに行った時に、「あなたにミシンを持たせなかったことがすごく気になってた」と言われ、10万円くらいするミシンを買ってくれました。

 長男が赤ちゃんの時は、お昼寝用マットやベビーカーの汗取りパッドを作っていましたが、幼稚園に入る時に見知らぬ土地に引っ越したので、少しでも楽しく通園できるようにと思い、電車が好きだった長男のために新幹線の絵を描いて、その絵を元にアップリケを縫ったり、バザーに出す作品を作っていました。数年後に長女が生まれてから、入園式・入学式で着る洋服を作るようになりました。最初は、子どものジャンパースカートを作ったりしながら、少しずつ難しいものにトライしていると、どんどん楽しくなってきて、長男の中学の入学式に着るスーツは自分で作りました。自分の中で家庭的なことに憧れていた部分が、子どもに洋服を作ったりするという“表現”だったのかもしれません。

 

b252cfa82e3578f9392669ad0ecfb799_m◆友人にあげたエプロン。そこから意外な展開が待っていた
今から10年ほど前に、ライターをやっている友人が、彼女が書いた記事が掲載されている雑誌をくれたんです。私は、そのお返しにエプロンをプレゼントしたら、すごく感激して、「ねえ、こんなに上手だったら、ネットショップやったらいいのに」と言ってくれて、うちまで来てネットショップを開いてくれたんです。その時につけたお店のネーミングが、”クチュリエール”です。彼女にあげたエプロンは、普段自分が家で使うために作っていたもので、私は今まで家政科できちんと学んだわけでもないし、自分では、これくらい普通かなと思っていたのを「ネットショップ、やった方がいい!」って言ってくれたことが意外で。
でもまだ当時は、それほど作品数も多くなく、子どもも小さかったので、開店休業状態になってしまったのですが…。

 

◆メガネをはずした私が、読者モデルとして誌面に

さらにもう1つ私の”分かれ道”が(笑)。

その頃ずっと私は、ドライアイということもあっていつもメガネをかけていたのですが、その友人がさらに「絶対に美人だからメガネを取ったほうがいい」って言ってくれたんです。しばらく「そんな、私なんて」という気持ちもあって、メガネをはずすことはなかったのですが、何度も言ってくれるので、メガネをはずしたら思ってもみない展開が待っていました。

彼女に「読モを探してるんだけど、雑誌に出ない?」と言われたのです。びっくりしました。でも当時は気分が落ち込んでいる時で、「新しい風を自分に入れたい」と思っていたところだったので、思い切ってダメ元で写真を送りました。その時の「一歩踏み出した感」を今でも覚えています。それから何度か撮影に呼んでもらいましたが、プロのヘアメイクさんにメイクをしていただき、カメラマンさんにキレイに撮ってもらうのは、すごく楽しくて、それから少しずつ美容も意識するようになりました。

 

f0b7be9a57364dd55270d4e251937366_mそのうちに自分の作品をFacebookに載せると、「私もこういうのお願いしたい」と依頼をいただくようになりました。例えば、高校生の長女のために作ったランチバッグ。ラミネート加工された素材で、内側に保冷シートを仕込んで、マチのあるランチバッグを作ってブログにアップしたら、すぐに「私も欲しい!」と数件の依頼が入りました。さらにお料理教室を開いている友人からは、ケーキを入れる容器を、他のお料理教室を主宰している方からもオリジナルのキッチングッズが欲しい、学生時代の友人から幅3メートルを超えるテーブル用のテーブルセンターが市販ではなかなか見つからないから、作って欲しいと言われたり。自分1人では、アイデアが限られてくるので、みなさんからリクエストをもらうとバリエーションが広がります。

これから? 今はバッグを作りたくて、素材を選んでいるところですが、近いうちに再びネットショップをやりたいと思っています。ただそれだけを仕事としていくには大変なので、会社勤めと趣味と実益をかねたクチュリエールの2本立てのバランスが私にはベスト。今、すごく楽しんでます。そうそう、母がくれたミシンは、あれからずっと修理しながら20年以上使っていますよ。 

 

千村さんの作品を注文できる販売サイト クチュリエール 

 

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<インタビューを終えて>

今回の取材中に一番心に残ったのは、「自分では、これくらい普通かなと思ってた」という言葉です。雑巾を縫うのにも四苦八苦する私からしたら、驚きの言葉でしたが、祐子さんは、中高でも家庭科は「ちょっと得意程度」、進学先は短大・国文科。普通のOLとして就職、社内結婚。専門に洋裁を習ったことはないそうです。でもきちんとプロの仕事として今、形になってきているわけですから、”普通”ではないことは確か。

もちろん、専門的に学んだ方が自信が持てるかもしれませんが、自信がないからと何もしないよりは、思い切って一歩踏み出すって本当に大事だと思いました。始めてみたら、今のままのスキルで十分だったことを確信できるかもしれないし、足りないことがわかれば、どこかで習えばいいし、一歩踏み出したからこそ気付くことが絶対にあります。

また、「何をしたらいいのかわからない」「自分には何が向いているのかわからない」という人は、子どもの頃から得意だったこと、好きだったこと、人からよく褒められたこと、ずっと続けてきていることを振り返ってみてください。それが一番自信を持てることだと思います。(終)

 

千村さんの選んだ「ワークバリューカード」

チムコ

自分が仕事をする上で、一番大切なモノ・コトを15枚のカードから選んだ結果がこれ!

♡個性を発揮する」

♡人に影響を与える

♡「秩序・きちんとしている」

の3枚でした。

ワークバリューカードについては、こちら→ 女の分かれ道研究所ブログ「”あなたが仕事をする上で一番大事なこと”がわかるワークバリューカード

 

 

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