第5回 一発で当てるのか積み重ねるのか
この話は宝くじの話ではありません。「しごと」についてのお話であります。
私が自称「しくじり」を名乗っている理由の中には、
「私、一山当てるから!」と言いながら、その一山が来ないままアラフォーになったということです。若い頃からそうでした。幸か不幸かある程度はこなしてしまうということが災いして大事故を経験もせず、挫折といってもリカバリーができる位のことであったと思われます。
今、某医療ドラマでは「インパクトファクター」という言葉が出てきて、今までご存知なかった方もそんな世界がありそんなことで争うのかと思われてる方もおられるかもしれません。
ドラマでは細部の疑問はありつつも、間違いなく研究者はその点数が欲しいと思います。
インパクトファクターは論文についている点数のこと。どの論文専門誌にもおおよその点数があり、知名度などでその点数は変動します。私がこの言葉を初めて知ったのはちょうど20年くらい前のことでしょうか。国立大学で教授秘書をしていた時のことでした。私がお仕えしていた教授は食中毒の分野では有名も有名な方でした。その当時は超有名とされている
「Nature」にも論文の責任者として名前を連ねておられました。インパクトファクターによる研究者同士の争いと申しますか、それに似たものは少なからずあります。
本題はここからなのです。
教授は当時、優秀な研究者に国費を研究費として分配されることを担当されていました。
ここで私は「積み重ねる大切さ」を知ることとなります。
A先生は某有名論文専門誌にいくつか出されているため、点数が高く3本(論文数)でかなりの点数がおありでした。B先生は記憶が正しければ会社に勤めつつ大学の研究室に通われていてそんなに点数の高い論文専門誌には掲載されてはいませんでしたが、何本も論文を積み上げて点数を蓄えておられました。私は教授に「先生、このA先生ですよね、だってでかい雑誌(ストレート表現で失礼)に出してますもん!」と言いました。
そうすると教授は「僕は、B先生にしようと思っているよ」と言われたのです。
なぜ・・・だって、どう見てもA先生の経歴こそ華やかで研究費を与えればきっとまた素晴らしい業績になるのではないか、と私は思ったのです。
教授は続けました。
「あのね、僕は大きい雑誌に出ているからではなくこのB先生の地道な姿勢に感服するよ。点数は少なくとも、何かを信じて研究を続けているこの姿勢はなかなか素晴らしい」
と。
私は今もこれからもこの教授と出逢えてお仕事させていただいたことは、本当に財産であり大変ありがたいと思い続けています。それは私の仕事や名誉に対する悪しき考えをくつがえして下さり地道に努力することの大切さを教えてくださったからです。
そして今でも私の史上最高の上司であることは間違いありません。恥ずかしながら私は「上司」という方からお褒めの言葉をいただいたことが無い人間でした。
ただ1人、褒めてくれたのは後にも先にもこの教授だけ。
何を褒めてくださったのかはまたいつか。
本筋から外れてしまいましたが、改めて教授には感謝申し上げます。
一発で当てるのももちろん間違いではありません。でもやはり、地道に努力することは必ず実を結ぶのだと私は信じているのです。
次回の更新は、7月20日(金)です。お楽しみに!
RICAさん
1973年生まれ。44歳。
大学時代から高級セレクトショップで働き、さまざまな人間模様を目にする。その後、国立大学秘書、人材派遣業を経て某電鉄系会社にて人事部人材育成を担当。現在、フリーで研修、時々販売員をしている。研修内容は、「マナーの前にまず躾」「気持ちで動く、働く」をモットーに伝えている。得意分野は医療、ファッション、社会問題、美容とさまざま。
投稿: 2019年1月20日
2019年になりました。今年もどうぞよろしくお願いします。でも年始早々、私は大好きで大切な親戚のおばさんを亡くしました。私が住んでいるのが阪で、叔母は神戸でしたから行き来もよくしていましたし、大変愛に溢れる方で本当にお世話になりました。
投稿: 2018年12月20日
この2018年は私にとってアラフォーと呼ばれる最後の年でした。そして色々あった年でもありました。はじめにこのコラムを皆様に読んでいただいた時に私は自身をフリーターだと紹介したと思います。今でもそれは変化していないのですが、唯一、この年の最後に誓ったことは
投稿: 2018年11月20日
来月はとうとうアラフォーを卒業し、アラフィフを迎える私。そして、今年も色々なできごとの中、改めてありがたいと思うことがありました。窮地に立った時、どれだけの人がどれだけ助けてくれるのかということです。そして、なんとこの方が!と思う人がとても力になってくださったり、
投稿: 2018年10月20日
最近、少し思うことがあります。センシティブな問題と思いつつもあえて発信しようと思います。決して否定的なことではないのですが、何か生きていく上で不都合が生じた場合に、「私、メンヘラなんで」
「私、発達障害なので」と、あまりにも精神的疾患を「診断を受けたわけではない」のに
投稿: 2018年9月20日
一貫してこのようなことをこのしくじりアラフォーで書かせていただいているような気がします。相手のことを思う、ということほど深く、難しいことはないと思います。そして、必ずしも「付き合いの長さ」と「思いやりの深さ」が比例しないことも最近、気づかされることもあります。
様々な職種や人として考えた時、この「当たり前」主張が気になり始めました。
投稿: 2018年8月20日
私は最近気になっていることがあります。「お金を払っているのだから、そのくらい当たり前でしょう」 という主張。確かに、商品に対する代金であったりサービスに対する料金であったり、支払ったからには、
提供する側も努力することもあるでしょう。
様々な職種や人として考えた時、この「当たり前」主張が気になり始めました。
投稿: 2018年7月20日
この6月から7月にかけては、地震とお大雨で私の住んでいる地域でも被害がありました。余震や土砂崩れに怯える毎日の中で、私でも少々疲れていますから、更に酷い被害を受けられた方を思いますと、本当にお気の毒でございます。人は有事の際に内省すると私は思っています。例えばこの天災時においても様々なことを考えさせられました。
投稿: 2018年6月20日
この話は宝くじの話ではありません。「しごと」についてのお話であります。私が自称「しくじり」を名乗っている理由の中には、「私、一山当てるから!」と言いながら、その一山が来ないままアラフォーになったということです。若い頃からそうでした。幸か不幸かある程度はこなしてしまう
投稿: 2018年5月20日
このように私も、コラムという形で自分の考えを皆様にお伝えする機会をいただいて、とてもありがたく思っています。最近はSNSで今まであり得なかったであろう、どんな方も公共の場において自分の考え等や情報を発信できるようになりました。と、同時にもちろんたくさんのトラブル
投稿: 2018年4月20日
よく巷で聞く「じりつ」ですが、どの漢字を思い浮かべるでしょうか。「自立」と「自律」これは違うのです。私が新卒社員採用時に、上司から「君は、何を持った新入社員がいいと思う?」と「リーダーシップ!」と答えたのですが、
「リーダーシップってさ、面接の時に分からへんわ」
投稿: 2018年3月20日
そのひとは、ご存命ならまだ30代半ばであったと思います。私が人材育成担当として仕事をしていた時、いえ、入社前から彼女のことは知っていました。とある店舗のアルバイトさんで元気がいっぱい。声はでかい。呼び込みすごい。
投稿: 2018年2月20日
こんにちは。しくじりアラフォー、Ricaです。軽く自己紹介をさせていただきます。仕事は、フリーターです。ある時は販売員、ある時は研修講師、ある時はライター・・・フリーランスなんてものではなく、フリーター。です。(ここ肝心です!)女性のキャリア形成が騒がれている昨今に