interview

ファッションキャリアからコスメ開発へ ディファインビューティ―代表 藤田陽子さん


◆40歳にして女性ホルモンが枯渇

-それはやはり体を酷使してしまったからなのでしょうか。それにしても早すぎますよね。

38歳のときに女性ホルモンの量を調べたら、「量が少な過ぎて、女性ホルモンが検出できない」と言われてしまったんです。先生から、「このままだと閉経してしまうよ」と言われ、3つの対処法を提示されたのです。それは「ホルモン補充療法」「漢方薬による治療」「放置する」でした。

まだ30代と若かった私は、まさか閉経するなんて本気に捉えていなかったので、ストレスが軽減されたら治るだろうくらいの軽い気持ちで、「放置する」を選択してしまったのです。本当のことを言うと、漢方薬を試したら生理不順が収まってきたので、「やっぱり原因はストレスだったんだ」と自分で勝手に診断をつけて、それまで服用していた漢方薬も止めてしまい、完全に放置してしまったんです。

―「放置する」を選んでしまったのですね!

そう、その時はそれほど体調も悪くなかったので、「いいや」と。でもそのせいか、40歳を過ぎてから急激に体調が悪化しました。洋服販売の店舗に出ている時は、緊張感があるので接客は普通にできるのですが、終業時間になってお店を出た途端に一歩も歩けない。駅まで行けないからタクシーに乗って帰宅したり、帰宅後も立っていることができずに、ソファにずっと寝ていたりとか。通勤時は、階段も登れないという状態が続き、「一体私は、どうなるんだろう」と不安でいっぱいでした。

―女性ホルモンの減少がそこまで影響するなんて思ってもみませんでした。

それだけじゃないんですよ。女性ホルモンの減少によってひどい肌荒れにも悩まされたんです。肌が乾燥して、かゆくて掻くから皮膚が破れてしまい、その上、赤いポツポツも出て、粉が吹いているという状態。肌にいいと言われる化粧品は、海外ブランドから国産コスメまで色々使ってみたけど、ピリピリ刺激を感じるだけで、全くよくならなくて。40歳頃までにひどい化粧品かぶれや肌荒れを経験したことで、自分で化粧品を作ることを決心したんです。

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40歳を迎える頃の壮絶な体調不良。現在の輝かしい笑顔からは、想像もつきません。

 

◆人生の後半戦は、化粧品開発で! 女性のために貢献したいと一念発起

―「化粧品を作ろう」と思った理由は、何だったのですか?

「自分の肌荒れを、なんとかしたかった」というのが、理由の1番かもしれません。まだ40代だったのに、ひどい肌荒れと閉経したことによる体調不良から、自分の女性としての人生は終わってしまったのではないかとまで思い詰めていたから。だからもう一度、前向きな気持ちを取り戻すために、まずはこのお肌をなんとかしたい、つまり自分の肌を助けてくれる化粧品を自分で作るしかないと思ったことですね。

第2は、「一生続けられる仕事をしたいと思ったから」です。ファッションは大好きでずっと続けてきた仕事でしたが、自分が一緒に年を重ねていける仕事がしたいと思ったんです。

―業界も全く違いますし、大きなキャリアチェンジになりますが、不安はなかったのでしょうか。

体調の面でも不安はありましたし、仕事でも「これからどうしよう」というストレスで顔がピクピク痙攣し、顔面神経痛になりそうでした。今思えば、生き方の節目だったと思います。「20代、30代で蓄積してきたものを、今後の人生にどう生かしていったらいいか」と常に考えていました。今後迎える人生の後半を自分はどのような生き方をしていくべきかと考えた時に、第2の人生は化粧品開発で、女性のために貢献していこうと思ったのです。

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「人生の節目」によって、あらたなキャリアへの道を歩きだした陽子さん。「以前から、コスメが大好きだった」とはおっしゃるものの成分をイチから勉強してのコスメ作りは、努力家・勉強家じゃないとできないこと。

40歳くらいになると誰もが考え始める人生の後半。ご自身の辛い経験を踏まえて、次なるステップは「世の女性」に向けて踏み出されました。

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