interview

アーティフィシャルフラワー第一人者  花装飾作家 FLORA ROOM主宰 中山亜希子さん


今から約10年ほど前(2015年現在)、プリザーブドフラワーが注目を浴びていた頃に、「アーティフィシャルフラワーの普遍的な美しさ、クリエイティブな発想をかきたてる魅力を広めたい」と日本に紹介し、“造花”とは一線を画す洗練されたデザイン、優美なフォルムでフラワー界に1つの分野を確立したアーティフィシャルフラワーの第一人者、中山亜希子さん。この度、日本人では初めてアメリカとヨーロッパの資格を2つ取得し、新たに注目を浴びている「FLORA ROOM Artificial Floral Design」主宰 花装飾作家の中山亜希子さんをご紹介します。

AKKOさん メイン画像

 

◆意外な過去。そして“花”との出会い

 -海外生活通算15年だそうですね。お花との出会いもアメリカで、現地では意外なお仕事をされていたとうかがいました。

10代にロンドン留学し、その後サンフランシスコの短大を卒業しました。人種のるつぼであるアメリカでコミュケーションを学びたいと思っていた矢先に、ひょんなことから現地のテレビ局のアナウンサーとして採用されたんです。18ミリカメラを肩に担いで取材をしたり、なかなかお会いできない方に取材したりと大変ながらも楽しく充実した毎日でした。

ある日、取材で行った日系の花屋さんでフラワーアレンジメントを見て、直感的に「お花の仕事いいかも」とひらめき、3年間務めたTV局を退社。その花屋さんで働きながらアメリカ式のフラワーアレンジメントを1年間勉強しました。その後、勧められるままにアメリカのお花の資格AIFDを取得した頃に、「私の道は、これかもしれない」と思ったのです。当時30歳でした。その後、サンフランシスコのブライダル業界で会場装花やブーケ制作、フューネラル(葬儀)装花、そして店舗のウィンドウディスプレイや空間装飾に携わるなど、少しずつお花が仕事になっていきました。

ここまで順調に見えた人生ですが、 その後、オーストラリアで1年間生活しましたが、諸事情により不本意ながら2004年、34歳の時に日本に帰国。ずっと海外でお花の仕事をしていこうと心に決めていた亜希子さんは、自分ではどうしようもない事情に巻き込まれ、海外に戻ることを断念。それからの2年間は、生きる目標を失い、人に会うことも嫌になってしまうほどの時期を過ごすことになります。電車に乗ればパニック症候群のような症状が出て急に息苦しくなったり、めまいがしたりと鬱(うつ)状態に。ご自身で「人生で1番想像がつかないことが起きた」と当時を振り返ります。

 ◆“花”なんてどうでもよくなってしまった帰国後の2年間。そして…

-その辛い時期は、「お花」の存在が亜希子さんを支えてはくれなかったのですか?

「これから日本でお花をやっても無理だろう」「年齢を考えても、今更この年では無理」「すでに確立された世界なので、そこに踏み込む余地はない」と非常にネガティブな精神状態だったので、お花をやりたいという気持ちにはなれなかったんです。

-その後、2006年から作品を載せるブログを始められていますね。何があったのでしょう?

あまりにも落ち込みの激しい私を心配した友人が「作品を作ってブログに載せてみたら?」と勧めてくれたのです。でも当時は日本でお花のキャリアもなく、ブログなんて芸能人や有名人がやるものという認識だったので、嫌々でした(笑)。ただ、作品を載せるのであれば趣味のブログではなく、きちんとした作品を載せようと思って始めました。

AKKOさん 1-ブログの中で、「ブログを始めるにあたり、1つ自分に課したことがある」と書いていらっしゃいますが、それは何なのか気になります。教えていただけますか?

お花の仕事に限らず、クリエイティブな仕事をしている方のブログを拝見すると、当然ですが経歴・資格を掲載されています。でも人は概して、バックグラウンドを見て作品を判断しがちです。私は、純粋に作品を見て判断してもらいたいと思い、経歴・資格は一切掲載しないということを自分に課したのです。

その後、ほどなく読者が増え始め、作品を見てくださった飲食関係企業に勤務している女性の方々から「こんなの見たことない」と少しずつ飲食店の装飾のご依頼をいただくようになったのです。

経歴・資格は、その方の“ウリ”の部分。それを隠して作品を見て判断して欲しいなんて亜希子さん、なんとも男前ですが、それだけの“自信”がおありだったのではないかと拝察します。ただ、本格的に始動した後も、なかなか周囲からの評価が得られず、長い“暗黒の時代”があったそうです。

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