◆人生が大きく動いたもう1つの出会い
―もうお1人は、どんな方だったのでしょう?
その経営者集まりで知り合った経営コンサルタントの林亜由美さんです。亜由美さんは、20年以上ずっと経営者を見てきて、その人の可能性を見抜く力がある方。私の話を聞いてくださって「絶対に幸子ちゃんにしかできないものがある」と私自身よりも何倍も強く確信してくださっていました。何度かお話を重ねたあるとき、「女性経営者の壁打ち相手になったら?」と言われて、「それだ!」と。まだ半年前のことです。
―「女性経営者の壁打ち相手」とは、どういうことですか?
ディスカッションパートナーでしょうかね。亜由美さんは、私のことを「一緒に話すと、思考がすっきり整理されるし、抽象的なことを図に落として可視化するのが得意な人」だと感じていたそうで、そういう作業が苦手な女性経営者に重宝されるだろうと思っていたそうです。
―なるほど。亜由美さんが、幸子さんの能力が活かせる仕事があることに気づかせてくださったのですね。だから運命の人。
実はその瞬間に、フラッシュバックした出来事がありました。以前、参加した出版セミナーで、参加者全員がそれぞれの企画内容を全員の前でプレゼンするという機会がありました。普通にほかの人のプレゼンを聴いていると、「この人のやりたいことは、もっとこういう風に表現すると伝わるんじゃないかな」とか「この企画のここにフォーカスしているけど、本当に言いたいことはこれじゃないのかな」と心に浮かぶんです。プレゼンの後、その方に「あなたが本当に言いたいことは、要するにこういうことじゃないですか?」と伝えると、その方が目の色を変えて「もう一回言ってください」「そうです、そうです。言いたかったことはそれです」とメモに書き留めようとする。私が、思いついた書籍のタイトルに変更した人もいました。
その経験がなんともいえないくらい楽しかった。亜由美さんに「女性経営者の壁打ち相手」と言われた瞬間に、このときの記憶と結びつきました。
◆やっと手に入れた「自分の人生を生きる」感覚
―話を聞いてあげて、「あなたの思っていることはこういうことですか?」とポイントを抽出してあげるということですか?
そうです。出版にしても、経営にしてもご本人の中にやりたいことへの想いが詰まっています。その想いを人に伝えたいんだけど、なかなか人に伝わるように短い言葉で言い表せないという方が多いんですよね。その思いの「核」の部分を、ご本人よりも上手に言葉にすると喜ばれるということに気づいたのです。しかもそれは、私が何も頑張らなくても自然にできることだった。その瞬間です。「もしかして、これって仕事にできるの?」って思ったのは。
―なるほど、確かに想いを端的に表すのって難しいんですよね。いろいろ考えても結局、どこかで聞いたことがあるようなありきたりな表現になってしまって「ちょっと違うな」と思いながらも、ほかに思いつかずに妥協するみたいな。幸子さんは、持って生まれた感性によってそれができると。しかもご自分では、特別な才能だと気づかなかった。
「え、仕事にしていいの?」「仕事になるの?」と。自分にとって普通のことだと思っていたことが仕事になると思ったら涙が出ました。「これで仕事にできる、人に喜んでもらえるんだったら最高!」だと感激したのを覚えています。同時に自分の人生を「抱きしめたい」と思いました。
―やっとですね! お話をうかがっている私まで嬉しくなってきました。「想いを言葉にする」仕事。具体的にどんなことを考えたのですか?
「仕事」として考えたときに、出版セミナーの時のように、口頭で伝えるだけではなくて、成果物として形にできることをしようと考えました。それには、「経営理念」だと思ったのです。パートナーと一緒に仕事をする中で、経営層の方と一緒にワークショップ形式で理念やビジョンをつくってきた知見も生かされていると思います。
―経営理念だけではなくて、商品名やサービス名も提案されているとか。
そうなんです。実際に始めてみたら、社名や商品名まで作れてしまうことに気づきました。その人の想いを端的に表すという意味では同じですからね。まだ初めて半年ですが、すでに提案した社名での登記をしたお客様が2名、商品名、サービス名を商標登録申請をしたお客様が5名もいらして、やっぱり私がやるべき仕事はこれだったんだと確信しています。
―思いを言葉にするお仕事は、もしかしたら他にもあるかもしれませんが、幸子さんにとっては、「経営理念づくり」が最善の選択でしたか?
はい。もちろんです! まだこの仕事を始めて半年ですが、経営者さんたちの事業にかける美しい在り方が、私の心にすっと入ってきた瞬間に、「なんて素敵な想いで事業をされているんだろう」と感動して涙することさえあります。先日、私に「その才能に気づいてくれてありがとう」と言ってくださった方がいたんです。生きてきてよかったと心から思いました。
―天職に出会ったばかりですが、今後、どんな仕事を心に描いていらっしゃいますか?
私はいつまでも、「挑戦者の翻訳者」でありたいと考えています。事業を始めてから、ふと「自分のお客様ってどんな方なんだろう」と振り返ったときに、今までの社会にはない価値を社会に提起しようとしている方ばかりだということに気がつきました。そんな方々を、私は「挑戦者」と呼んでいます。挑戦者って、そのビジョナリーさや、想いが溢れるばかりに、なかなか想いが伝わりづらいってあると思うんですよね。だけど私には、そんな彼らのビジョンを理解し、今の常識につなげる感性があると思っています。「想いの核を言葉にする」ことに挑戦し続ける、という点においては私自身も挑戦者であり続けたいと思います。そしてそれを続けていく中で、企画の中核に関わる立場になっていけたらいいですね。
例えば、いろんなプロジェクトの最初のキモとなるコンセプト設計に関わって、「『グッとくる』ってこういうことじゃないっ?というところからたずさわるイメージ。なんとなくですが、佐藤可士和さん、小山薫堂さん、糸井重里さんみたいに、「このプロジェクトも、またあの人が関わっているの?」っていうのを目指したいです。夢は大きくです!
溢れる才能、感性を活かす方法がわからなくて悩んでいた時期の苦しかったであろう幸子さんの心情に、実は同じように自分に合う働き方が見つからなくて悩みに悩んだ私自身の20代を重ね合わせていました。だからこそ、「天職に出会えて幸せ」だとはじけるような幸子さんの笑顔に、「本当に良かったですね」と私まで涙ぐむような時間となりました。
最後に「ここまでが長かったからこそ、今の仕事をとても大切に感じます。同じ人間が、本当にやりたいこと、やれることが見つかったら、半年でこんなに変わるんですね」とおっしゃった幸子さん。これからは、その溢れる才能と感性を存分に活かし、周囲で支えてくださる大切な方々に見守られながら大きく羽ばたいていかれることと思います。
撮影/山辺恵美子 ヘアメイク/大山美智 取材/川崎あゆみ
次ページには、幸子さんの記事内に掲載したお写真とはガラッとイメージが異なるプロフィール写真+「おまけ」があります。
【Backnumber】
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