読書好き、書評好きの2人のライターによるオススメ本のご紹介(毎月10日&20日更新)
ホンスキージョ そのいち:Anzy
小学生の事は、毎月、親からもらったお小遣いを握りしめて、本屋に直行。親戚の家に行けば、本棚からごっそり本を取り出して、遊ぶいとこたちを横目に、山積みにした本を片っ端から読んでいく。特に伝記物が大好きで、「人の人生」に強い興味を抱き、のちのちのインタビューの仕事へとつながっていく。特にキュリー夫人に憧れて研究者になりたいと夢みたものの、バリバリの文系だということに気が付くまでそう時間はかからなかった。「世界中の非識字率をゼロにしたい」という想いを心に抱き続けている。現在は、毎週日曜日の読売新聞の書評欄にくまなく目を通し、面白そう♪と思ったものは、その場でかたっぱしからアマゾンで注文。毎週2~3冊読む本の中から、おすすめしたい書籍をゆる~くご紹介します。*ジャンルは相当偏っています。
ホンスキージョ そのに:JUNKA
幼少期から本が心の拠りどころで、毎日図書館に通い詰めては次の本を借りるのが楽しみでした。続きものの物語を読み始めたら止まらず、ゾーンに入って気付いたら朝、ということもしばしば。当時有隣堂のカバーに書かれた「本は心の旅路」に激しく同意する小学生でした。本はいつどんな時でも、その世界に入り込むことで冒険者にも哲学者にも魔法使いにもなんにでもなれる。嬉しい朝、泣きたい夜、困難にぶつかって頭を抱える日も、自分がどんな心の状態の時でも、いつも何かの答えをくれる。そんな本に支えられてきた人生を送ってきました。心に響く珠玉の作品から実生活に役立つ目からウロコの一冊まで、おすすめの本をご紹介します。なお、Anzyにつづきまして、ジャンルは相当偏っております!
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ホンスキージョの気まぐれ読書
今回の担当は、JUNKA。
本は、こちら。
「幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない」
ラス・ハリス著
「幸福になりたい」。
多くの人がそう考えているのではないでしょうか。
幸福になるために、頑張っている。
もっと幸福になりたいから、毎日一生懸命やっている。
そうやって日々努力している人も多いかもしれません。
そこで質問です。
皆さまにとって「幸福」とは、一体何でしょうか。
人生の中で何度も考えたことのある問いかもしれませんが、今一度、考えてみていただきたいのです。
本書では、幸福を「自分にとっての価値に沿って生きること」だと定義しています。
世間一般で「幸福」とされることや、誰かにとっての「幸福」だと感じられることではありません。財産や健康、愛、名声、地位など一概に言えることでもありません。
「自分」にとって、「価値がある」と思えること。
自分にとっての価値に沿った行動ができること。それが幸福になる方法だと本書は言っています。
例えば、野球選手になって活躍したいと思っている人にとって、野球で強くなることには大きな価値があるでしょう。自分にとって価値があることだからこそ、つらいトレーニングも練習も懸命に頑張れます。
その過程の努力もすべて、夢へ向かって前進している成長の一歩となり、やりがいや充実感を感じるでしょう。つらいことや困難も乗り越え、手応えがあるたびに夢へ近づいている感覚や成長、自己実現の達成感を感じるのではないでしょうか。
本書では、こうした「自分にとっての価値に沿って生きる」ことにエネルギーを使うためにも、【それ以外の余計なことにエネルギーを持っていかれなくて済む方法】が紹介されています。
これはつまり、私たちが幸福になれないと感じるのは、【それ以外の余計なことにエネルギーを持って行かれている時】だということを意味しています。
「それ以外の余計なこと」とは、ネガティブな思考に振り回され、つらい気持ちになってしまうこと。
簡単に言ってしまえば、そんなつらい気持ちに振り回されることにエネルギーと時間を割くのではなく、自分の価値に沿って生きることにエネルギーを使おう、というのが本書のメインテーマです。
本書は、ACT(アクセプタンス・コミットメント・セラピー)と呼ばれるマインドフルネスに基づく心理療法を実践するためのガイドでもあります。
ACTは認知行動療法の一種であり、少しマニアックな内容になりますが、私にとっては永遠のバイブルとも言える、とっておきの名著なのです。
ACTではネガティブ感情を否定することなく、ただそこにある感情を認めます。
『「思考」はただの頭に浮かぶ「物語」に過ぎない』と考えることで、思考と現実を切り分け、自分を追い込むつらい思考に飲み込まれないようにする技術です。
ACTでは、私たちの頭の中に浮かぶネガティブな「思考」が、感情とごちゃ混ぜになって「事実」であるかのように思い込んで苦しむことを「フュージョン状態」と呼びます。
例えば、「ミスばかりする自分はダメな人間だ」という思考が「悲しみ」「不安」「自己嫌悪」などの感情を呼び、「自分はダメだ」と事実のように思い込んで苦しくなり、実際にその考えで辛くなって食欲がなくなる…など。
しかし、そのつらい気持ちは「思考」が生み出している単なる「物語」に過ぎないため、「事実」ではないということを思い出せば、思考に振り回されずに済むのです。
その方法を脱フュージョンと呼び、本書には沢山の実践方法が丁寧に書かれています。
もちろんそれは序章に過ぎず、本書はこの一冊でACTの真髄を知ることができるので、興味を持った方はぜひ一度読んでみていただきたいと思います。
一般的なセルフメンタルケアの本や自己啓発の本とは一線を画す内容であり、人によっては衝撃を受けることもあるでしょう。
一度や二度通読しただけでは、今一つ飲み込み切れない部分もあるかもしれません。否、「飲み込みたくない自分」に遭遇してしまうかもしれないとも言えます。
それほど、一般的に信じられてきたことを良い意味で裏切ってくれる本でもあり、人によってはグサグサと胸に痛い言葉に出会う可能性もあるでしょう。
私が数年前に初めて本書に出会った時は、「雷に打たれるような衝撃とはこういうことを言うのか」と思ったほどでした。
しかし、だからこそ、私たちの心に深く強く響くものがあるのです。
心理学や自己啓発に興味があり、これまで沢山の本を読んできた人や、今まで幸福についてさまざまなことを考えてきた人にこそ、読んでいただきたいと思う一冊です。
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幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門 [ ラス・ハリス ] 価格:1,870円 |

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