こんにちは、大内です。
乾き始めた秋の風に季節の変わり目を感じる今日この頃、皆様は笑顔でお過ごしでしょうか。
私たちが心から笑顔でいるためには、幸せな感情が必要です。
悩み事があると眉間にしわが寄ってしまったり、目を伏せてため息をついたりして、笑顔が消えてしまいがちになるでしょう。
できれば悩み事は少なく、笑顔は溢れんばかりの日々を過ごしたいものですが、時として私たちの心は悩み事に支配され、笑顔を忘れてしまう日もあります。
「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである。」
―アルフレッド・アドラー―
アドラー心理学の根底に流れている考え方の一つに、このような言葉があります。
ベストセラー「嫌われる勇気」でも「この世界から対人関係がなくなってしまえば、あらゆる悩みも消え去ってしまうでしょう」と老人が語るシーンがありました。
そして幸か不幸か、私たちの世界には必ず対人関係が存在します。他者から切り離されて生きることはできません。社会生活を送る上でも、衣食住においても、直接的であれ間接的であれ、必ず他者との関わりがあります。
対人関係は、心からの温かい幸せや喜びを運んできてくれることもあれば、傷付いて心を痛め、涙する夜を運んでくることもあります。
幸せな対人関係ばかりなら笑顔溢れる豊かな人生となるかもしれませんが、避けて通れない関係の中に心痛める対人関係が存在することもあるでしょう。
そんなときでも、私たちが私たち自身の笑顔を守るためには、どうすればいいのでしょうか。
「自分は自分、相手は相手と線を引くことは健康な人間関係の基本」
―水島広子―
「私は私のために生きる。あなたはあなたのために生きる。
私は何もあなたの期待に応えるために、この世に生きているわけじゃない。
そして、あなたも私の期待に応えるために、この世にいるわけじゃない。
私は私。あなたはあなた。
でも、偶然が私たちを出会わせるなら、それは素敵なこと。
たとえ出会えなくてもそれは仕方のないこと。
私は私。あなたはあなた。」
―フレデリック・S・パールズ―
対人関係には、「心理的境界線(バウンダリー)」と呼ばれるものが必要です。
心理的境界線(バウンダリー)とは、自分と相手の間に引く心の中の境界線のこと。
「ここからこっちは私の領域、ここからそっちは相手の領域」
「ここからこっちは私の選択の自由、ここからそっちはあなたの選択の自由」というお互いを尊重する考え方のもとにもなる境界線のことです。
もしも心痛めるような対人関係上に置かれることがあったとしても、このバウンダリーを自分と他者との間にしっかりと引いて自分を守ってほしいと、私は常々お伝えしています。
たとえば誰かが自分に何かを強く求めてきたり批判をしてきたりしたとしても、バウンダリーを引いて自分と相手の領域を尊重していれば、「あなたはそう思ったのですね。(私は違う意見を持っているけれど)」ということになります。
つまり、“あなたがそう思うのはあなたの考えであってあなたの自由。でも私がそう思うかどうかは私が決めることであって私の自由。言う通りに考えたり行動したりしなければならないわけではない。”ということですね。
逆に、相手の言いなりになってしまったり相手に自分の考えを押し付けたりしてしまうことは、「バウンダリーオーバー」と呼びます。
断われずに相手が自分の領域に侵入してくることを許してしまったり、自分が相手の領域に侵入したりする状態は、「バウンダリー」を「オーバー」して相手の領域を侵しているわけです。
たとえば「あなたのためだから」「よかれと思って」という善意の場合も、あなたの自由な選択の領域に侵入してくる人がいるのなら、立派なバウンダリーオーバーです。
「もしあなたが私を嫌いでも、あなたに私は変えられないわ。だって私は私だもの」
―アヴリル・ラヴィーン―
「他の人の自分に対する評価は、その人の個人的な意見であり、自分の評価そのものには関係しない。」
―アルフレッド・アドラー―
自分と相手は違う人間。
比べる必要もなければ、批判や誹謗中傷を無条件に受け止めなければならない理由もなく、相手に求められる期待通りに生きる必要もない。
お互いにさまざまな考え方や価値観を持っているけれど、自分は自分、相手は相手。
みんな違ってみんないいのです。
バウンダリーを引いて、心痛める対人関係から自分を守った後は、その対人関係への見方を変えてみると良いかもしれません。
「他人に対して感じる「イラ立ち」や「不快感」は、自分がどんな人間なのかを教えてくれる」
―カール・グスタフ・ユング―
「物事を「問題」ではなく「機会」として捉えることができるようになると、教訓を得ると同時に喜びと満足感であなたは満たされることになるでしょう」
―ジェラルド・G・ジャンポルスキー―
「どれだけ人間が生まれて、合わない環境であっても、そこで出会うものがすべて必然なんだと思って、受け取り方を変えていく」
―樹木希林―
対人関係でイヤなことがあった時は、自分の中の「これはイヤだ」という心の声に気付くことができます。あなたにとってイヤなこと、好きではない価値観、避けたいものが見えてきます。
すると反対に、自分にとって大切にしたいこと、望ましいこと、嬉しいと感じること、好きな価値観が見えてくるでしょう。光と影は表裏一体です。
自分の心からの望みや大切にしたい価値観を見つめることは、自分らしい人生を自分軸で生きていくことに繋がるでしょう。
また、「イヤだ」と感じることには理由があり、そこに自分の抱えている潜在的な課題が投影されている場合もあります。心の安寧と幸せのために乗り越える必要がある課題が、目の前の対人関係を通して何かを教えてくれているという場合もあるのです。
「自分が変容していくと、人を許したり感謝したりする“心の姿勢”が身につきます。すると、同じ相手のことを“自分に学びを与えてくれる人”と思えるようになる。」
―相川圭子―
「“嫌い”とか“嫌だ”とかネガティブな気持ちが変わらないなら「考えを変えて」みればいい」
―野々村友紀子―
「“人”は変えられない。ただ、“人間関係”は変えられる。」
―樺沢紫苑―
「嫌いだろうが、性格が合わなかろうが、その人と自分との違いを発見し、異なった人生を学ぶ姿勢。」
―山本コウタロー―
私たちはこの世の中に生きる限り、対人関係を避けて通ることはできません。時には辛い対人関係に出会ってしまうこともあるでしょう。
しかし、自分の考え方や受け取り方次第で、自分を守ることやストレスを軽減することはできます。
つらい対人関係に出会ってしまった時は、バウンダリーで自分の心を守り、自分にいたわりの言葉を掛けながら乗り越える練習だと思ってみるのも良いでしょう。
その中から気付きや学びを引き出してみて下さい。そして自分を癒す好きなストレス対処法を試してみる機会にしてみて下さい。
ノートにひたすら気持ちを書き出してみる、深呼吸やヨガをする、セルフハグをする、朝日を浴びて散歩する…。自然に触れて休むのも良いでしょう。そうして自分自身をいたわり、自分の心の声と対話する時間を取ることも大切です。
そのスキルが身につけられれば、レジリエンスと呼ばれる心の力が育まれていきます。そして人の痛みがわかる温かな人間性がより一層耕されていくでしょう。
そうして痛みを乗り越えたあなたの力と経験は、いつか誰かの傷を癒し、支える力になるかもしれません。
読んで下さった皆さまが、自分を守る方法とストレスを軽減して乗り越える方法を身につけ、対人関係において笑顔でいられる日々を願って。
【大内順加 プロフィール】
1979年生まれ、二児の母。
フリーライター/心理カウンセラー、アンガーマネジメントキッズインストラクター
大学では臨床心理を専攻。大手広告代理店勤務を経て、出産・育児中は認知行動療法を学ぶ傍ら、育児関連webサイトで在宅ライターに。2008年より本格的に活動を始める。
現在は主に、認知行動療法、ストレスマネジメントに関する書籍の執筆や、ライフスタイルマガジン、情報サイトの記事作成、企画・編集作業、横浜の地域密着型おでかけサイトで突撃取材&インタビュー記事、現地レポ作成などをおこなっている。
心理カウンセラーとして認知行動療法を用いたカウンセリングのほか、ギャングエイジの子どもを対象に「怒りを感じたとき、どう行動するか」「怒りをコントロールする方法と大切さ」について伝える日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントキッズインストラクターとしても活動中。
【執筆メディア】
◆”知らなかった新しい横浜”を紹介するウェブサイト「ハマニア」にて「なかのひとに聞いてみた!」インタビュー
◆ブログ:「きもちの居場所―幸せをつかむチカラ磨き―」
➔https://ameblo.jp/utari-atuy
◆書籍「人生を変える無意識の使い方―なりたい自分に必ずなれる!―」
➔https://www.amazon.co.jp/dp/B08KDP7V56/
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