こんにちは、大内順子です。
冬の凛とした寒さを感じる師走、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。
年末は、帰省して久しぶりに実家の家族や親戚と会う予定の人や、旅行の計画を立てている人もいるでしょう。
懐かしい友人たちとの忘年会を楽しみにしている人や、ゆっくりと羽を休めて一年の疲れを癒す予定の人もいると思います。
私たちは日々の暮らしの中で様々な人間関係を持っていますが、年末年始は実家の家族や親戚、帰省先の旧友など、久しぶりの人間関係を温める機会もあるでしょう。
人間関係は人生において重要なもの。気づけば私たちはいつも誰かと関わり合い、その関係性の中で喜んだり、悩んだり、ときに傷ついたりしながら生きています。
「すべての悩みは人間関係の悩みである。」
―アルフレッド・アドラー―
私は仕事上、人間関係に関する多くの深い悩みと向き合ってきました。
「嫌われるのが怖い。気にし過ぎて言葉を選んでしまう」
「苦手な人にどう対処すればいいか、距離の取り方がわからない」
「優しくしたいのに余裕がない」
「周りにどう思われているのかが気になって思うように生きられない」
「人の期待には応えなくてはいけない」…
そんな揺れ動く心と一緒に歩いてきた経験の中で、感じてきたことがあります。
それは、人間関係の原点はいつだって “自分との関係” に戻ってくるということ。
「私たちは自分の心の中にあるものしか、人に与えることはできない。」
― ウェイン・W・ダイアー ―
自分の心が満たされていなければ、優しさも思いやりも、どこか自己犠牲的になってしまったり、
人の役に立つことで自分の存在価値を確認するためのものになってしまったり、良い人であろうとする義務感にすり替わってしまうこともあります。
逆に、自分自身を大切に扱い、自分に敬意を持って生きている人は、自然とその姿勢が周囲にも伝わっていきます。
「自分自身を愛することを学ばない限り、他者を真に愛することはできない。」
― ルシール・ボール ―
人は自分と同じものを相手にも映し出すこと(投影)があるため、自分との関係がそのまま人との関係に現れていくことがあります。
たとえば、自分を責めていると、相手の中の責めたい部分が目につきやすくなったり、
相手から認めてもらえないことに不満を持っているとき、実は自分を一番認めていないのは自分自身であったりする場合もあります。
「あなたが世界に見るものは、あなたの心の中にあるものにほかならない。」
― エックハルト・トール ―
だからこそ、自分自身との関係をまず大切に尊重すること。
そこから始まるのだということを、いつでも覚えていて欲しいと私は思うのです。
また、人間関係の悩みが生まれる理由のひとつに、「違いを恐れる」というものがあります。
自分と価値観が似ている人に出会うと安心しますが、違いを持つ相手と関わると、
不安になったりモヤモヤしたり、理解できないと感じてしまうこともあるでしょう。
しかし本当は「違い」こそが、私たちに気づきや視野の広がりをもたらしてくれます。
「人間の本当の発見の旅とは、新しい景色を探すことではなく、新しい目で物事を見ることだ。」
―マルセル・プルースト―
相手の価値観、相手のペース、相手の世界の見方。それらは自分とは異なるからこ
そ、新しい視点を与えてくれます。
違いをお互いに尊重し合えるとき、人間関係は深まり、視野が広がり、豊かな色を帯びていくのです。
ただ、残念ながら私たちは、違いを分かり合える相手ばかりと出会えるわけではありません。
時には理不尽を押し付けられたり、考えを否定されたりする場面もあります。
そんな時、忘れてはいけないのが境界線(バウンダリー)を引く大切さです。
優しい人ほど自分を後回しにしてしまい、相手に合わせ過ぎて疲弊することもあるでしょう。
しかし、本当に健やかな人間関係とは、相手を拒絶することなく、自分も犠牲にしない距離を保つことで成り立ちます。
自分も相手も、どちらも尊重し合えること。
相手を立てて自分を犠牲にしたり、自分の意見を通して相手を拒絶したりするのではなく、お互いに尊重し合えるコミュニケーションをとれること。
それが温かい人間関係を築くために大切なことです。
「境界線は、相手を拒絶するためではなく、自分を尊重するためにある。」
―ブレネー・ブラウン―
さまざまな人のお悩みを伺っていると、「NOと言えない」という人が多いと感じます。
なぜ「NO」と言えないのかというと、多くの場合「関係性を壊してしまうのではないか」「そんなことを言ったら悪く思われたり不快にさせたりしてしまうのではないか」という不安が背景にあるから。
しかし「NO」と言える勇気は、関係を壊すのではなく、むしろ関係を守ります。
自分を大切にしながら相手と関わるという姿勢は、結果として相手を大切にすることにもつながります。
自分が無理をして相手に合わせる関係性では、次第に辛くなっていき長続きしない場合もあるでしょう。しかし、適切に「NO」が言える関係では、長期的に無理のない関係性を継続していくことにもなるのです。
「あなたにふさわしい人は、あなたの境界線を尊重してくれる人である。」
―シャノン・L・アルダー―
人との関わりの中で、時にはどうしても心が疲れる夜もあるでしょう。そんな時は無理に関わり続ける必要はありません。
離れることがより健やかな関係を選ぶための勇気ある選択になることもあります。
距離を置くことで、自分自身を取り戻し、関係性の健全さを見つめ直すこともできるのです。
「他人を変えようとしてはいけない。理解しようと努めれば、すべてが変わりはじめる。」
―老子―
人間関係で大切な姿勢のひとつに、「相手を変えようとしない」ことがあります。
私たちはつい人間関係の問題に突き当たった時、
「こうなってくれたらいいのに」「変えてあげなければ」などと思い、相手を変えようとしてしまいがちです。
しかし人は、自分のタイミングでしか変わることができません。
アドラー心理学の課題の分離で言うならば、相手が変わるかどうかは相手の課題。
どんなに「こうなってほしい」と願っても、本人が「そうなろう」と思わない限り、変わらないのです。
だからこそ、「こうしてほしい」「変えてあげよう」とするのではなく、まずは「わかろうとする」こと。
なぜそう考えたのか。どんな想いや背景、価値観がそこに在るのか。
理解しようとして関わることで、お互いを尊重し合う関係性が始まります。
「愛とは、安心の別の言い方である。」
―ルー・タイス―
人と人がつながる中で、基盤となるのは「安心」です。
安心していられる場所、信頼できる相手。
その存在は、私たちを強くし、優しくし、挑戦する力を与えてくれます。
人は安心できる場所でこそ、本来の力を発揮することができます。
あなたが誰かにとっての「安心の場所」になるということは、
相手の心を大切にし、守り、癒し、時には勇気づけ、力を与えてくれるものになります。
Google社のプロジェクト・アリストテレスでは「心理的安全性」が重要であることが知られていますが、
私たちはこの心理的安全性があれば、自分の本来の力を発揮し、いきいきと活躍ができます。
安心できる人間関係があれば、人は自分らしくのびのびと生きることができるのです。
「人生の質は、人間関係の質で決まる。」
―トニー・ロビンズ―
そして、人間関係の質を決めるのはコミュニケーションに表れる在り方と、言葉でしょう。
私たちは誰かのふとした一言で傷つくこともあれば、たった一言に救われることもあります。
「ありがとう」
「助かったよ」
「嬉しかった」
「あなたがいて本当によかった」。
そんな何気ない一言が、人の心を照らし、人生を変える力を持っています。
そして相手の言葉に宿る小さな優しさや思いやり、見えない努力にも気づけるようになれば、
関係性の空気はより柔らかく、温かいものへと変わっていくでしょう。
「人に与えることは美しい。しかし、受け取ることもまた同じくらい美しい。」
―エリー・ヴィーゼル―
「人は忘れる生き物だ。でも、誰かに大切にされたという“感覚”だけは決して忘れない。」
―宮沢賢治―
今日この瞬間から、あなた自身に対して、そして大切な人たちに対して、あたたかい言葉と眼差しを向けてみてください。
それは愛の循環を生み、より豊かで温かい人間関係を育てて行ってくれる力になるでしょう。
あなたの人間関係がこれからますます優しく満ちていくことを、心から願っています。
【大内順加 プロフィール】

大内順子
1979年生まれ、二児の母。
心理カウンセラー/ライフコーチ・コミュニケーショントレーナー
大学では臨床心理学を専攻。大手広告代理店勤務を経て出産。育児中は認知行動療法を専門的に学ぶ傍ら、教育・育児関連のライター・在宅編集者に。ライフスタイルマガジン、情報サイトの記事企画・執筆、インタビュー取材、現地レポ作成なども行う。心理系コラム連載、日本アンガーマネジメント協会認定キッズインストラクターとしても活動する。
その後、認知行動療法、認知心理学・機能脳科学、ストレスマネジメントに関する書籍を3冊出版。(ペンネームは大内順加)心理系記事の監修もおこなっている。
現在は心理カウンセラーとして認知行動療法・スキーマ療法・ゲシュタルト療法・アドラー心理学をおもに用いた心理カウンセリングセッションのほか、ライフコーチとして認知心理学と機能脳科学に基づいた自己実現コーチングを提供中。
また、モチベーション&コミュニケーションスクール講師として、日本全国で企業研修やセミナーを毎月多数実施している。
◆ホームページ:カウンセリングルーム「きもちの居場所Utari」
➔https://juncoolo55.wixsite.com/website-1
◆ブログ:「きもちの居場所―幸せをつかむチカラ磨き―」
➔https://ameblo.jp/utari-atuy
◆書籍「人生を変える無意識の使い方―なりたい自分に必ずなれる!―」ほか
➔https://www.amazon.co.jp/dp/B08KDP7V56/
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