あなたに勇気をくれる言葉　「明日一歩踏み出す力」第42回

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あなたに勇気をくれる言葉　「明日一歩踏み出す力」第42回

こんにちは、大内です。皆さまは、心が傷ついたり疲れてしまったりした時、自分自身にどのような言葉を掛けていますか？

「よく頑張っているね、本当にお疲れさま」でしょうか。

それとも「立ち止まっている場合じゃない。もっと頑張らなきゃ」でしょうか。

「このくらいたいしたことないのだから、へこたれていたらいけない。しっかりしなきゃダメ」と語り掛けている方もいるかもしれませんね。

私たちは傷付いたり辛くなったりしたとき、心の中で自分に語り掛けています。

セルフトーク、内省言語などさまざまな呼び方をしますが、無意識のうちに自分の頭の中で自分自身に語り掛けている言葉があるのです。

これは傷付いたり辛くなったりしたときだけでなく、普段何気ない時にもいつもおこなわれています。その数、1日に約5～6万回。私たちが特に意識していないために気付かないだけで、それほど多くの語り掛けをしています。

この語り掛けの声が特に大きくなるのが、傷付いたり辛くなったり、大変な状況になったとき。

「こんな自分じゃダメだ」

「もっと頑張らなくちゃ」

「しっかりしなきゃ、ちゃんとやらなきゃ」

そんな声が、心の中から聴こえてきたことはありませんか？

頑張り屋さんで一生懸命生きている人ほど、そして向上心が高い人や完璧主義傾向のある人ほど、こういった声を自分自身に掛けることで、叱咤激励しているケースがあります。

叱咤激励して自分のエンジンをかけている場合はまだしも、ただでさえ傷付いている自分自身に、「あの人はこんなに立派なのに」と他人と比べて自分を批判する言葉を掛けることもあるかもしれません。

内なる批判者の声はエスカレートし、落ち込んでいる自分自身に「なんてダメなのだろう」「失敗ばかりで情けない」と自己否定の言葉を掛けて追い打ちをかけるときもあるかもしれません。

「生きていれば大変なこと、傷つくこと、悲しいことはたくさんある。でも、そこで『ああ、私の人生って失敗』と思うことはない。その都度、自分に大丈夫と声をかけて必要ならば誰かの力を借りながら、また立ち上がって歩き出して行けばいいの。」

―香山リカ―

「自分の人生を否定するのは自分の魂を傷つける行為。魂を傷つけているから、生命力が無くなって無気力になってしまう。」

―CHIE（チエ）―

「『やってられないよ』と思ったとき、『でも俺、頑張ってるよな』とつぶやいてみてください。『頑張ってる私って、結構いいな』と、自分を好きになってください。

その方が生きやすくなるとは思いませんか？」

―松岡修造―

私たちは、傷付いたり辛いことがあったり大変な状況に陥ったとき、自分を責めたり自己否定をしたり、自分の至らなかった部分を探して落ち込んだりしてしまうことがあります。

確かに、できごとを振り返って適切なフィードバックを自分におこない、建設的な方向に軌道修正していくことは大切です。しかし、至らない部分を見つけては自分を責め、攻撃していても何も始まりません。自己否定して自分を傷つけ続けていても、何も変わらないのです。

「せめて自分ぐらい自分を褒めて認めてあげないと自分が救われない。

自分の味方になれるのは自分だけ。」

―美輪明宏―

「自分にもっとやさしくなってもいいのよ。」

―アドリエンヌ・リッチ―

傷付いている自分に優しい言葉を掛けたり、いたわったりすることが苦手な人たちは、傷付いたり苦しかったりするときほど、「自分を甘やかしてはいけない」と、「ちゃんとしていない自分が悪いのだからもっと向上しなければ」と、自分の心に鞭を打ちがちです。

「つらいよ」「苦しいよ」と呟いている本音の声（中核感情・一次感情などと呼ぶことがあります）を無視して、フタをして心の奥に閉じ込めて、感じないようにしてしまうのです。

それを素直に感じてしまったら、もっと頑張れないような気がしてしまうから。

例えば、もっと頑張れない自分は、価値がなくなってしまうような気がしてしまうから。

でも、その心は傷付いているのです。

もう充分に傷付き、疲れ、苦しんでいるのです。

疲弊した心にさらに自分で鞭を打っていたら、心が壊れてしまいかねません。

「強がりなんかいうことないよ

やせがまんなどすることないよ

だれにえんりょがいるもんか

声をかぎりに泣くがいい

ただひたすらに泣けばいい」

―相田みつを―

本当は、自分に鞭打ってでも頑張ってしまう癖のある頑張り屋さんこそ、本音の心が叫んでいる声を聴いてあげてほしいのです。

本音の心が感じていることを、否定せずに受容してあげて欲しいのです。

「ああ、悲しかったんだね。頑張ったのに、つらかったよね。苦しかったよね。」と。

まるで親友や大切な誰かに声を掛けるように、温かく慈愛に満ちた言葉を。

大切な人が、つらい気持ちを乗り越えて、また一歩を踏み出す勇気を心に灯せるような言葉を。

そんな言葉を、自分自身に掛けてあげて欲しいのです。

これを心理学では「セルフ・コンパッション」と呼びますが、人が大きなストレスを受けた時に、ストレスレベルを低減し、より早く立ち直れるように背中を押してくれる方法でもあります。

つまり、私たちは失敗したときや傷付いたとき、つい自責や自己否定をして自分を傷つけてしまいがちですが、それはストレスレベルを増大させ、脳内のリソースを奪い（情報処理をする脳内の領域をストレス反応で埋め尽くし）、苦しみの中に留まらせる役割を果たします。

一方で、傷付いた自分の本当の心の声を受容し、温かく優しい言葉を掛けていると、ストレスレベルが低減し、脳内のリソースが癒しによって解放され、苦しみを早く乗り越える活力を与えることになるのです。

「心を開いて「Yes」って言ってごらん。

すべてを肯定してみると答えがみつかるもんだよ。」

―ジョン・レノン―

辛いときも、傷付いたときも、自分がつい認めたくないような感情を感じた日も、それを否定したりフタをして閉じ込めたりすることなく、そう感じた自分自身も受容してあげましょう。

ダメだと思ってしまうような自分にも「Yes」と言ってあげられることこそが、真の自己肯定感でもあります。

そのうえで、親友や大切な人にかけるような慈愛に満ちた優しい言葉で自分を包み、いたわってあげて欲しいと思うのです。

「一番難しく、しかも最も大切なことは、人生を愛することです。

苦しい時でさえも愛することです。

人生はすべてだからです。」

―トルストイ―

【大内順加　プロフィール】
１９７９年生まれ、二児の母。
フリーライター／心理カウンセラー、アンガーマネジメントキッズインストラクター。

大学では臨床心理を専攻。大手広告代理店勤務を経て、出産・育児中は認知行動療法を学ぶ傍ら、育児関連webサイトで在宅ライターに。2008年より本格的に活動を始める。

現在は主に、認知行動療法、ストレスマネジメントに関する書籍の執筆や、ライフスタイルマガジン、情報サイトの記事作成、企画・編集作業、横浜の地域密着型おでかけサイトで突撃取材&インタビュー記事、現地レポ作成などをおこなっている。

心理カウンセラーとして認知行動療法を用いたカウンセリングのほか、ギャングエイジの子どもを対象に「怒りを感じたとき、どう行動するか」「怒りをコントロールする方法と大切さ」について伝える日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントキッズインストラクターとしても活動中。

【執筆メディア】

◆”知らなかった新しい横浜”を紹介するウェブサイト「ハマニア」にて「なかのひとに聞いてみた！」インタビュー

◆ブログ：「きもちの居場所―幸せをつかむチカラ磨き―」
➔https://ameblo.jp/utari-atuy

◆書籍「人生を変える無意識の使い方―なりたい自分に必ずなれる！―」
➔https://www.amazon.co.jp/dp/B08KDP7V56/

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